雑記44 – 非線形科学

非線形科学について書こうと思っていたのですが、中々書きにくいものでどのように書くべきか考えていました。

 

非線形科学とはカオスや複雑系等と呼ばれるもので、ネットワーク理論やフラクタルに応用されています。

物理学が、こうなるであろう、という予測の学問であるのに対して、そうなってゆく、という過程を見てゆく学問だと言えるかと思います。

 

以前にも書いたかと思いますが、養老孟司さんがよく言う、こうすればああなる、という考え方というのは線形のものだと言う事が出来るかと思います。

宇宙空間で大砲から弾を撃つと、それは重力や散逸系からの影響をほぼ受けずに、ほぼ直進するかと思います。

要するに弾の位置と時間をグラフにすると正比例になり、リニア(直線)のグラフが描けます。

その大砲を地球に下ろし、同じように弾を撃つと主に重力の影響をうけるので重力係数を追加することで放物線(ノンリニア)の形を予測できます。

もちろんその他ものもろの影響はありますが、弾を針の穴に通すわけでもないし、弾は破裂するので多少の誤差は大した影響にはなりません。

 

そこにあるのは人間という大きさと時間のスケールに基づいたものの見方。というものがあるように思います。

人の例えによると、自然というものを一本の木に例えると、物理学は真理を探るため、樹の根元に向かったが数学は木の葉から木の全体像を把握しようとした。

という人もいます。

 

面白いことに非線形科学というのは数学から発展しました。

物理学的な必要性から生まれたトポロジー(位相幾何学)はより数学的になり、より一層の美しさを求める方向に向かいました。

トポロジーが発見されて以降、数学者はそれまでの幾何学を捨て、全てトポロジーで表現しようとしたようです。

科学者、というと周りのことを気にせず一人黙々と研究を続けている。というイメージがありますが、どうもそういった意味では同じ人間で、

流行り廃りに流されるようです。数式が流行ったかと思えばグラフが流行ったり、時代により流行を取り入れてゆきます。

そして19世紀、現実を見ずに数式に美を求める数学者と、ひたすら現実の真理を追求することに情熱をかける物理学者はは犬猿の仲になったようです。

 

トポロジーという概念を作り出したポアンカレという人は、なぞかけを残して死んでゆきました。

その謎には莫大な賞金が掛けられたそうです。以前NHKでそれを解いた人のドキュメンタリーをやっておりました。解かれたのはつい最近の話です。

地球から紐の付いたロケットを飛ばし、宇宙を一週させる。そしてロケットに付いた紐が全部たぐり寄せられたら宇宙はドーナッツ状(トラース)と言えるか?

という問題だったかと思います。意味がわかりません。

そして、それが解かれたとき世界中の多くの科学者が落胆したそうです。

そして、それを解くのにトポロジーでなく、古典幾何学やエントロピーが使われていたことに落胆し、その説明を聞いても理解出来ないことに落胆したそうです。

なので、意味が分からなくても多分大丈夫です。少なくとも自分はわかりたいとも思いません。

 

そのよに数学は純粋な物、という進化を選び物理学と袂を分かちましたが結局繋がってしまったようです。

ちなみにそのなぞかけを解いた人はロシアの数学者で、賞金を辞退し母親と二人でアパートに住み、自分の貯蓄と母親の年金で生活しているそうで、

人と会うことを拒み、取材に応じませんでした。

 

長くなりましたが、要するに出が同じでありながら途中で別れて又戻る。という経緯を説明したかっただけです。

どうも非線形科学というものを知ってゆくと、自然の叙述、ということを思い知らされます。

なっちゃうんだからしょうがないじゃない。何とも心許ない答えですが、思わず笑って頷いてしまいます。

 

その非線形科学がよく使われるのがコンピュータです。

むしろコンピュータの発明なしには非線形科学はここまでの発展をしませんでした。

CGではフラクタルという自己相似性のものがしばしば使われます。

しかし現場の人間から言わせると、そういったもので作られたプロシージャルなものは非常に機械的で使い物にならない。

というのが今までの考え方でしたが、どうも最近は変わってきました。

 

ピクサー社が製作した「カールじいさんの空飛ぶ家」という映画ではその家のテクスチャは全てプロシージャルで作成されたそうです。

その機械的なものに対してエッジや向いている面にバイアス(重み)を持たせ、フラクタルに対して計算上の修正を加えたそうです。

尤もそれでは計算に時間がかかり過ぎる。というので、そのテクスチャを画像に焼きこんで貼り付けたそうです。

 

勝手な妄想を膨らませると、行く行くCGツールというのは時間の経過を設定し、建築物を作ってゆくとその時間の経過による汚れがリアルタイムで生成される。

なんてこともできそうです。物の配置により人の動線が変わり、100年というスパンではこのくらい傷んでいる。というシミュレーションができそうな気がします。

意地悪して極端に細い廊下などを作っても100年という時間で見れば2人くらいは通る。などということがシミュレート出来るようになると楽しそうです。

どんな格好をして通ったんだろう。と妄想は膨れるばかりです。

 

余計は事を書いていたら肝心の非線形科学について大して書くことができませんでした。

バタフライ効果やパイこね変換という面白いものもあります。

長くなったのでこの辺で。

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