雑記50 – 「グローバル恐慌」

ニュースの解説などで良くお見受けする方です。

テレビでは厳しい口調が多く、ご意見も少し偏っているように感じておりました。

 

この本は良い意味で期待通りで、良い意味で期待を裏切ってくれました。

口調が厳しく、特定のものの見方をする。ということは物事を端的に説明する。ということでもあるかと思います。

CDSやレバレッジなどの仕組みや専門用語をとても分かりやすく解説されております。

そして、テレビで見るほどの口調の厳しさはなく、表立ってはいませんがやさしさを感じることが出来ます。

それでも巻末に至るにあたり、大分やるせなさや憤りが噴出し、だんだんと厳しいものに変わってゆきます。

 

もののたとえは秀逸で分かりやすく、サブプライムローン証券化問題をつけで飲む飲み屋の請求書と福袋という形で表現されております。

以前自分も書いたことですが、サブプライムローン問題とそれの証券化の問題は違う。という指摘がありました。

なるほど確かにそのとおりです。

しかし、右肩上がりが当たり前、信用を金額に換算する。という観点から見ると同じになります。

 

そして、モノとカネが決別したのはニクソンショック以降、アメリカを中心とした世界が金本位制から抜け出た時期と同じであることを指摘します。

これを養老孟司さんは頭と体が別れた、と表現していました。

形而下の束縛を離れた形而上のものは雪だるま式にその大きさを増して行きます。

さらにカネは信用という、これも形而上のものと結合し更なる発展をしてゆきました。

信用という人間の持つ、人間的であり一般的に良い物とされるものでも、大きくなりすぎると依存となり負の力を持ちうる物へと変化してゆきます。

僅かな疑心を元に大きく崩れるそれにより、恐慌というものが引き起こされる。と言い換えても良いかと思います。

 

タイトルにも使われておりますが、恐慌という言葉にも触れられております。

辞書では、恐れ慌てる。だそうです。まさに言い得て妙です。

それは自然の猛威を目の当たりにした、人間の単純な行動であるように思えます。

 

形而上であったカネと信用が、あたかも形而下での自然の猛威のように人間に襲いかかる。

勝手なこじつけかも知れませんが、自然と決別し形而上の美しさを追い求めて行き着いた先にカオスを見つけた非線形科学とかぶります。

どうも人間自身が自然のもので、その自然由来の脳みそを使って考えていると必然的に自然を凝視することになる。というのもありかと思います。

 

そしてそこには、先のことは分からない。というキーワードが隠れています。

例えば、棒の両端から力を加えるとその棒はたわみます。古典力学ではその棒の曲がり具合を計算で求めることが出来るかと思います。

しかし、その棒がどちらに曲がるか、これは分かりません。大変なことが起こるが、どのように大変なのかは分からない。そんな感じでしょうか。

 

「良きにつけ悪しきにつけ、最終的に物事を決めることは理念である。」すみません、正確ではありませんがそんな言葉が紹介されていました。

これはユリウス・カエサルの言葉「どんなに悪い制度であっても、それを作った時は良かれという想いからだ。」これも正確ではありませんが、

その言葉と重ねて考えると面白いかと思います。

小手先の制度改革で変更できることなどたかが知れており、大きく振幅しているように見えるグラフも離して目を細めてみれば直線にも見えます。もっと離せば点に見えますが。

それを考えると人に一番重要なことは教育と環境ではないかと思います。

そう考えると、それらが最も蔑ろにされている現代はダメなんだろうなぁ。などと思ってしまいます。

 

話は関係ありませんが、原発事故を見ていて思ったことがあります。

どうも自分は知らない間に自然は良いもので、人工は悪いものだ。という一元的な考えに寄ってしまっていたのだと気が付きました。

どうも問題の本質はそこではなく、人工の物を使うと手入れが必要になる。という部分ではないかと思います。

そして、その人工物があまりにも巨大になりすぎると手入れも大変だ。という事です。

司馬遼太郎さんがどこかで書いていましたが、攻撃力よりも防御力が秀でている時代の戦争は比較的平和的だが、攻撃力が防御力を上回る時代においては悲惨な結果になる。

というような内容でした。

 

完全自然回帰、など現代に生きる我々にはほぼ不可能に近い話だと思います。だからといって何でもスイッチひとつで片付ける。というのも極端な話です。

そこそこの人たちがそこそこ納得出来る、そこそこの妥協案。という何とも中途半端で頼りない物を考える。そんな時代なのかとも思えます。

 

人類の歴史は振り子のように揺れ動いているのでしょうか?それならば散逸系力学により収束し、停止します。

どうもその振り子は過去から比べて振り幅が大きくなっているようにも見えます。

アトラクターを見つけカオスになるのでしょうか。だからエントロピーは増え続けるのか?などと考えてしまいます。

どっちにしてもよく分からないから、まぁいいや。

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