雑記68 – 立派な経済活動を探す

以前知事と大臣のやりとりで、これだけ自動販売機がたくさんある国はおかしい、という知事に対し、それらも立派な経済活動の一環である。と反論した大臣の話を書きました。
どうも立派な経済活動というものは探してみると面白いところに出てくるようなので、書いてみます。

 

テレビで見たことがありますが、東京都内には街にあふれる雨水の対処のために巨大な貯水施設があります。
数千億円だか、とにかく莫大な費用を掛けて作ったのを誇らしげに見せている映像がありました。

 

やはりここでも立派な経済活動が存在します。
元々そういった施設は存在しなかったもので、必要になった理由は都市の全面的なアスファルト化にあります。
自然に地面に染みていた水が、アスファルトによって透水しなくなり、そのような巨大な排水施設が必要になりました。
しかも、それだけでも足りないようです。

 

少し前まで「足るを知る」という言葉が良く聞かれました。
どうも自分には良く分かりません。
元々「無い」ものが技術革新や、経済の活性化により入手できるようになると、「ある」ものに変化します。
アフリカのどこかの村では、一つの村200人で洗面器を共有するそうです。彼らに取ってはごく普通の日常なのだと思います。
しかし、東京で同じことをやろうとすると、大変なことになるのは想像に難しくありません。
100円ショップで簡単に手に入るものをわざわざ隣近所の人と共有する必要もありません。パフォーマンスか近代芸術の領域に入ります。
それは、それで面白いと思いますが、彼らに取っての「足る」と我々の「足る」はすでに乖離している事に気が付きます。
そういえば、自動販売機を非難した知事は、経済の活性化と言ってオリンピックを招致しようとしていますが、どうも自分には矛盾しているように感じてしまいます。

 

休日に田んぼや畑の手伝いをさせていただいておりますが、そこで作業をしていると村社会の必然性を痛感します。
人によってはトラクターが日本の社会を壊した、ともいいます。もっと本質的なことを言うと、トラクターを買えるお金が壊した。ということです。
トラクターは一人で大規模の作業を行うことが出来ます。それがない以前は人手でやっていました。
東南アジアの貧しい国々はトラクターが買えないので、未だに根強い村社会が存在します。
トラクターは石油で動きます。トラクターを作る工場も石油で動きます。田畑に撒く化学肥料も農薬も石油の力で作られます。
要するに現代日本人は自国からは殆ど採れない石油によって飯を食っている。ということにもなります。
お金があるから出来たことで、それにより人と人とが助けあう村社会が崩壊しました。
もっとも、すでに窮屈なそれはいずれにせよそうなったのかも知れません。そこにも知る。ということが関連してきます。

 

外の世界を知る前は、それはそれなりに幸せだったのかも知れません。しかし、知ってしまってからでは中々後戻りできません。
個人的には無理に後戻りする必要もないし、知ったことを後悔する必要もない。どちらにせよ時間は非可逆的なのですから、と思います。

 

街頭のチラシ配りについて、考えたことがありました。
自分にとって大抵必要ないそれを受け取るべきが、受け取らないべきか、という何とも下らない問題です。
必要ないのであれば、バイトの人が仕事を早く終わらせられるように、受け取るべきではないか?
ゴミが増えるだけだから自分が受け取ったことによって、それがより助長されてしまうのではないか?という、またまた何とも下らない問題です。
結局自分一人が意識的にどうこうしようと、恐らく何も変わらない。という答えに行き着きました。
なので、必要であればもらい、そうでなければ軽く会釈をして通り過ぎる。という、何とも普通なつまらない回答が導きだされました。
問題もどうでもいいし、答えもどうでもいいです。

 

立派な経済活動というものは、個人の思惑だけではどうにもならない。
暴れん坊で有名な将軍吉宗も、江戸時代の大名行列を無駄である、ということから廃しいようと試みましたが、結局そうはなりませんでした。
時の権力者ですらそうなのだから、仕方がない。もっとも将軍は盟主であって国王ではない。ということもいえるかも知れませんが、どちらにせよ強い反発は必至です。

 

そういえば、養老孟司さんはそんな現代に生きる我々に対し、「アレが無い、コレが無い。何が無いって、品が無い。」という事を書いていました。
何とも痛烈です。

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