雑記84 – ローマ時代の建築と現代の建築から

以前建築の事について書いたので、ローマ時代の建築との比較から現代を見てゆきたいと思います。
塩野七生さんが書く所によると、ローマの建築の原点というべきものは、ローマの領土がその周辺地域に限られた時に既にできていたことを指摘しております。
当時執政官だったアッピウスは窪地で水の豊富なローマにわざわざ水道橋を引き、塩を取るために街道を整備した事がそれである。と書かれております。

 

先日偶然テレビを見ていると、偶然ローマの建築を特集しているものを見ることが出来ました。
そこでは、ローマが絶頂期に差し掛かったネロの時代を中心に描かれておりました。
皇帝ネロといえば、塩野さんの書き方だと、目立ちたがり屋の情緒不安定な青年、という印象を受けます。
彼は自ら楽曲を作り、市民を集めてコンサートを開いたりもしました。
芸術家を自認し、建築にも色々と口出ししていたようです。
そんな彼が暴君と呼ばれる理由は、彼の考案した建築計画にあり、ローマの中心地に巨大なドムス(個人宅)の建設にあったことを指摘されていたかと思います。
その予定地が突然の火事により消失し、住民を立ち退かせる必要が無くなりました。
市民の間からは皇帝が意図的に起こした火事ではないか、という噂が立ち、それまで人気者でチヤホヤされていたネロは
市民たちの反応に戸惑い、その火事を当時まだ圧倒的な少数派であり、異端であったキリスト教徒に押し付け、彼らを虐殺しました。
そして、その後キリスト教徒により暴君と綽名されるようになった。
歴史上もっと人を殺した人がいるだろうに、たった100人そこらで暴君と呼ばれるには少し可哀想だ。と塩野さんは書かれていたかと思います。

 

塩野さんはネロに対して、外交と経済面に関して十分に皇帝としての責務を果たした。と評価されていたかと思います。
しかし、どうやらネロは建築に対してもそれなりの政治手腕を見せたようで、テレビの特集では、
当時火事の絶えなかったローマを作り替えるために、車道を広くし、歩道に現代のアーケードのような柱廊を設置するよう義務付けたそうです。
そして、ローマ周辺から採取されるセメントが大いに使われるようになったのも、この頃のようです。

 

当時の都市部にはドムスという個人邸宅は余程の金持ちしか持つことが出来なかったそうで、大半の人はインスラと呼ばれる集合住宅で暮らしていました。
インスラの一回部分はテナントになっており、工房や商店が入っていたようです。
二階以上が住居となり、階を上がるごとに建築はお粗末なものになり、住んでいる人もそれに比例して所得が下がったそうです。
考えてみれば当然の事ですが、火事などの災害時に最も危険なのは上の階で、エレベーター等が無い時代、最も不便なのも上の階です。
現在では全く逆の事が言えるかと思いますが、先の震災でその当然さが浮き彫りになりました。
行政は建物の一階部分しか責任を持たないそうで、特に高層マンションの最上階に住んでいる方などは場所によっては大分大変だったかと思います。

 

当時のローマの生活を現代に例えるならば、キャンプ場を思い浮かべるといい。という人もいます。
トイレ風呂はなく、外食する習慣が多かったようなので、台所が無い住居もあったようです。ただ、台所はあっても現代のように優先はされません。
料理をするのはあくまでも奴隷の役目です。
汚物を窓から捨てることを禁止する法律もあったことから、公共のトイレに行くのが面倒で窓から投げ捨てていた人もいたのだろうと思います。

 

話がそれました、それたついでに当時のローマの生活を見てみたいと思います。
当時のローマは日本のように、性に対して緩やかで、シャーマニズムが生きる場所で良く見受けられる、生殖器に対する崇拝がありました。
商店の店頭には、青銅などで作られた男性器を模した物がまとまってぶらさがっていたようで、それを鳴らすと縁起が良い。とされていたようです。
そして、それは「ティンティンナーブラ」と呼ばれていたそうです。思わず下ネタか、と突っ込んでしまいそうな名前です。おかしな偶然もあるものです。
そして、食堂によっては、そこで働く奴隷の女性が気に入れば、別室で違うサービスも受けることができたそうです。
ものの価値が違うので、現在のお金の価値と比較することはとても難しいことですが、大体小麦粉一キロ分の値段、がその時の料金だったそうです。
100円から200円と言ったところでしょうか。そうなると犯罪率も経るのかなぁ、などと考えると中々深い問題を秘めています。

 

うーん、随分下品な方向になってしまいました、、建築の話は全く関係ない。
そういえば、前回紹介した「構造デザイン講義」では、911の時に破壊された貿易センタービルについても書かれていました。
その当時、マスコミも報道していましたが、あれだけのものがあれだけ容易く壊れるものか。と自分も考えておりました。
しかし、建築家の中には良くあれだけもったものだ。という人もいるそうです。
というのも、超高層ビルというのは、中央にスティール製のエレベーターシャフトが最も重要であり、
それはスティール製、ということもあり、300度の熱で簡単に変形してしまう。
要するに超高層ビルというのはバラックを積み上げただけのものだ。という人もあるそうです。
なるほど文明が大きくなると大変なものだ。と、そんな文明に生き、思います。

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