雑記86 – 線形近似

さて、自分なりに得た知識を自分なりに考え、それを表して見よう、と考えておりました。
上から斬り込むか、下から斬り込むか、そんな事を考えながら学んでいたのですが、どうやらそれは上と下がくっついている。
うーん、じゃあ適当に行きましょう。と、いった感じにこのタイトルを選びました。

 

一般的に自然界と呼ばれる、我々の身の回りの環境は、専門的な表現では非平衡開放系、と呼ばれます。
そして、我々生物は事象に対して因果関係を結び、経験則を得、それにより未来予測を行う。という平衡系に近似して把握してきた。
と、言えるのではないかと思います。
 

それを見てゆくには、人間の脳が他と比べてどうであるか、という事が重要であるかと思います。
鳥類は他の動物に比べ、図形の認識に優れていることを以前書いたかと思います。
流石は元々恐竜であった、といわれるだけあって、その歴史が古いせいかも知れません。
そして、鳩と人間に対して同じ実験をした人がいました。
その実験内容は、まずはじめに被験者(?)である鳩と人間に同じ図形を見せます。
その図形とは3つの点が書かれただけのものです。
その3つの点をつなぎ合わせると三角形ができますが、その三角形は歪な形をしている。というものです。

 

その図形を記憶させた後、今度は何枚かの紙に分けて同じような図形を見せます。
その図形はコンピュータで生成されたもので、正三角形を元に徐々に崩れてゆく3つの点で、最初に見せた図形はその内の中間辺りの中途半端なものです。
そして、図形を見せている間、脳神経細胞の発火状態を計測したそうです。
鳩の実験結果はとても優秀で、初めに見せた図形が提示された時に最も強く反応しました。
しかし、人間では初めに見せた図形よりも、正三角形の図形に強く反応を示したそうです。
 

要するにより抽象化された像に対して人間は強く反応する。
抽象化というのは、5つの丸と5つのりんごをつなぎ合わせる、というような作業で、現代社会に生きる我々にとっては必要不可欠な能力、と言っても過言ではないかと思います。
しかし、人間にとってそんな当然のような能力も実は生得的に備わった能力ではなく、経験により作り上げられた能力であることが分かります。

 

というのも、南アメリカで偶然発見された民族に対して行われた実験でも分かります。
彼らに対して、数字の把握能力をテストした実験がありました。
木の板に一本の線を書き、それを真似してもらう。というものです。
3本目まで難なくこなしておりましたが、それ以降いくら数を増やしても、彼らは3本の線しか書かない。
勝手な推察ですが、恐らく彼らにはそれ以上の数字は意味が無い。3つというのは我々が考える3つと言うよりも無限大の記号に近いのかも知れません。
そもそも村の全員の人の名前と顔を知っていれば、数は必要ない。
「昨日は何人来たの?」という質問は「昨日は誰が来たの?」という質問で事足りる。ということなのだろうと思います。

 

また、太平洋に浮かぶ島々で言語の進化を研究した人がいました。
その中で、文明度の低い言語を使っている民族はより色の数が少なくなっていることに気が付きました。
そして、最も少ない色数は3色で、黒白赤だそうです。(黒と白の順番は不確かです。すみません)そして次に増える色が緑、青、黄色、と続きます。
恐らくこれは人間の視神経であり、明暗を区別する杆状体細胞と呼ばれるものが中心近くにあるから、白黒がはじめに来るのかと思います。
そして、その後の色の順番はスペクトルと補色の関係に相当します。波長が長いほうが見えやすいのでしょうか?
では、色数の少ない民族は青をどのように表現するかというと、薄い赤、だそうです。
我々からすると、そこまで丸めちゃうの。とちょっとビックリしますが、同じ脳を持っている我々も程度の差こそあれ、近似で丸めております。
五十歩百歩、といったところでしょうか。

 

この辺りは、脳の可塑性と臨界期という、ものに関わってきます。
生物学者によっては10万年前の人間を現代に連れてきても、それが子供であれば恐らく現代に対応できるであろう。という人もいます。
それはニューギニア地方で近代化したところから飛行機のパイロットになった人もいる、という事を指して書かれておりました。
脳の臨界期とはある年齢に達するまでにそれを習得しないと、その後その能力を獲得するのが難しい。とされる時期です。だから子供には未来がある。
狼少女、少年と呼ばれる、人間に捨てられ狼に育てられた少年少女が言語能力を中々獲得できないのもそのためだろう、と言われております。
そういえば、同じような事象で全く逆の事もあります。幼い時の病気が元で大脳皮質が殆ど無い、という人がいたそうです。
その方はIQ126で大学で数学の賞も取るほどの頭脳の持ち主だそうですが、MRIを取るまで大脳皮質が無いという事実を知らなかったそうです。

 

20世紀に入り、原爆が投下された後、それまで学問の花形だった物理学(量子力学)が衰退して行き脳科学が盛んになって行くのも分かる気がします。

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